1999年4月18日、念願の出雲なんきん愛好家を訪問する機会を得ることができました。今回お邪魔した目的は、フィッシュマガジン誌上で紹介された「出雲なんきん愛好会」の優等魚を是非この目で見たいと言うものでした。 京都筋のらんちゅうを手がけている中で、更紗の魚のルーツを探る作業を続けていましたが、その一つのルーツに私はこの資料のページでも詳しく触れた「大坂らんちう」に行き当たりました。また、同時に当時の地金魚の中には、大坂らんちうと同じく、規定された多くの模様がある事にも注目していました。 そういったものの中に、大坂らんちう以外に「出雲なんきん」があり、尾張の「地金」の存在があることも書籍で知ることができました。模様には「六鱗」や「本国錦」の名前を見る事もありました。 このような模様名は。当時の金魚を知る上でキーワードであると考えていた訳です。また、遠く離れた出雲、大坂、尾張で、同じ鑑賞方法が成立していたその時代背景も調査したい対象でもありました。 つまり大坂らんちゅうを辿ればなんきんは当然射程距離に入るわけです。 らんちゅう、なんきん、大坂らんちゅうは同じマルコという原種からの派生品種ですから、今も脈々と受け継がれ保存されているなんきんを精査すれば、答えにまた一つ近づくのには間違い無いと私は確信します。 その意味では浜松にお住まいの池山氏が、オオサカランチュウとなんきんを飼育されているのは、まさに狙いは当っていると言えるのではないでしょうか? それでは、私の拙い文章とともに画像をご覧ください。 尚、金魚党のロムさんが「出雲ナンキン」専門ページを立ち上げてらっしゃいますのでそちらも是非ご覧ください。 |
これがフィッシュマガジンでも紹介された竹田氏の持魚である「竹姫」です。「竹姫」は屋号でそれぞれの魚に「竹姫〜号」と名づけられています。 口から尾先まで優に30センチはあろうかという堂々とした体躯の中にもその上品さはいささかも損なわれていません。 特に注目に値するのは腰から尾筒、そして尾型です。なんきんにおきましても、尾筒の太さ、尾皿の重要性はらんちゅうと同じです。これだけの前かがりを維持するには、持って生まれた尾の良さも多分にあるでしょう。 訪れた時が、春であったため、体型は出来ていませんが、十二分に品評会コンディションの片鱗を見せてくれています。 らんちゅう愛好家には、なんきんの尾筒の長さはどうもとっつき難いものですが、この魚は、尾筒は長いにもかかわらず、筒の太さと尾の前かがりと腹の位置によって何ら不都合を感じさせません。 竹姫は、このように希有の優等魚でもあるわけです。 この魚を見ていると、あの松井先生の大坂らんちうの挿し絵により近いイメージを感じます。 |
60センチの洗面器だったと思いますが、2尾の竹姫を泳がせるともうすごい!の一言に尽きます。 |