有賀氏の言の中で特に印象に残ったことを書き記します。

●六鱗の仔魚の時期は、尾が出来上がっていない。選別時には魚の将来を見通せる経験が必要。つまり、六鱗は和金の派生種であるので、仔魚の時期はまだ4つ尾に近い状態で次第に2枚の尾に開いていく。ここを見誤ると将来性のない魚を残してしまうとのこと。

●魚の将来性と飼い方、飼育技術が伴わないと画像で見る事の出来る見事な開いた尾にはならない。

●目先のある魚が良い魚。上品な魚という意味だと私は解釈しました。

●左右の尾が並行に、そしてしなやかさが出なければいけない。
ハフという六鱗用語を言われていました。因みに長澤氏の本には「ほふ(破風)」と表記されています。同義だと思われます。

●「尾を洗う」と言って、尾の先端の色が抜ける事を嫌うとのことですが、どの魚もしっかり色が入っていて大変美しいと思いました。

●有賀氏はらんちゅう同様に泳ぎを重視されています。動きの悪いこの時期においても十分その品評会コンディション時を想像出来る佇まいでした。

以上、思い付くままに記させていただきました。

この資料のページをご覧になった諸兄にはもうお気づきになった方もいらっしゃるかもしれません。私がこの資料のページの地金魚(地金や六鱗ではありません。伝統ある各地方で産する金魚という意味)を執拗に追っている意味をある程度ご理解頂けるようになって来たかと思います。

らんちゅうを頂点にそれぞれの地金魚を貫く鑑賞方法やそれに付帯する色々な決まり事や先人の知恵を実地に検証することの意味。全てがひとつの方向性を持っていることにお気づきになられたでしょうか?

これらのことに関しては、場所を替えて論じて行きたいと思っています。

最後になりましたが、有賀氏からは、実際に魚を見ながら多くの事を学ばせていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。