ph(ペーハー)について

アルカリ性とペーハーショック

このコーナーは、私がこの夏体験した「アルカリ性とペーハーショック」についてを金魚党きって
の理論家FRANKさんの「 自論:金魚の飼い方<濾過理論編>」*を下敷きにまとめたものです。

1:発端
私は、春に叩き池を製作しました。叩き池はご存知のようにセメントのモルタル製です。できたから
と言ってすぐには金魚を入れることはできません。アクが出るからです。アクとはセメントから染み
出す強アルカリ性です。それを中和して金魚の住める状態にしなければなりません。それを「アク抜
き」と言います。何度もアク抜きをして、さて大丈夫と魚を入れました。

2:経過
夏の到来です。水温は連日30度を越えます。ところが叩き池の魚はどうも調子が良くありません。
鰓病が多発し、水換えをしても一向に良くなりません。尾や鰭がバラバラになり、溶け出しているよ
うです。悩みました。

3:原因の究明
それは秋口まで続きました。その頃、とどろきさんに来て頂きペーハーを計って頂きました。
すると、池の水は軒並みペーハー「9」を超えていました。前の日に入れた水までも同じ値です。
金魚の生存するには不適切な飼育水になっていたのです。金魚はペーハー値「6〜8」が良いとされ
ています。連日の暑さでアクが急激に溶出し、さらに水換えで適正値になったところでショックを受
け、またすぐに「9」近くにペーハー値が上がる。魚はどんどん衰弱していったのでしょう。
他の病気も併発する原因になったのだと思います。

4:対策

もう一度アクを抜く作業をしました。その時の画像が上のものです。色があまり奇麗に出ていません
が、2本並んだ試験管の左側が飼育水を入れて試薬を投入したものです。右は水道水。濃い色ほどア
ルカリが強いことを表します。しかし、セメントの量が多いせいかいつまでもアクは抜けません。意
を決して、内面にペンキを塗り、アクをシャットアウトすることにしました。番犬「ケンタ」君の画
像で叩き池が写っていますが、奇麗なエメラルドグリーンがそれです。これでアクの溶出はなくなり
ました。

5:教訓&見解
ここからFRANKさんに登場していただきましょう。氏は水槽飼育で濾過に注目されて理論化され
ています。
「濾過とは何か?」「飼育水の濾過とは?」「濾過の良否判定」「無換水飼育が可能か」と論を進め
られています。濾過にお悩みの方は是非参照してください。

FRANKさんも仰っていますが、らんちゅう飼育の場合は、糞漉し以外は濾過に該当することはし
ません。

「金魚は「動物門」に属する生物ですから、外部から食餌によって蛋白質を摂取する必
要が有ります。蛋白質には窒素が含まれますから、これが糞尿中にアンモニアとして
排出されます。アンモニアは金魚にとって猛毒です。」

糞や餌の残りは、水の劣化を急がせます。アンモニアも濾過無しでは取り除くことが出来ません。

「亜硝酸もアンモニアに次ぐ毒です。硝酸塩は金魚に対し直接的な害毒ではありませんが蓄積するとPH
を著しく低下させその意味で害を及ぼします。なお理論的に言うと硝酸塩は、水草に吸収されたり、
ある種のバクテリアの働きで空気中に窒素として放出されますが、実際には換水による除去が必要な
様です。」


硝酸塩、亜硝酸も青水のみでは物理的に取り除くことは不可能と解釈できます。以上のことから舟や池
によるらんちゅう飼育においては、換水が必須になります。

「濾過がうまく行ってなければ論外ですが、うまく行ってる場合でも換水しなけ
れば硝酸塩の蓄積=PHの低下を招き、濾過能力の著しい低下を招きます。この様な場
合、一見健康そうに見えても金魚に相当なストレスを与え、体調不良の要因になりま
す。少なくともエサ食いが悪くなるハズです。これは「無換水飼育」が実質的に不可
能な事を意味します。」

「水質が限界まで悪くなってから大量に換水する方法をとると、換水時に著しい
PHを含めた水質の変化を招き金魚にショックを与えるので、出来るだけ少量かつ定
期的な換水をおすすめします。」


この場合、phの低下が顕著になることを仰っています。私の体験したことは、逆にphの外部的要
因による上昇ですが、phの変化が金魚に及ぼす影響は一緒だと思います。

汚れた飼育水から新水にする場合、相当の注意が必要でしょう。ましてや経験の浅い私のような
ものにとっては割水は必須です。

無知とは言え、魚にとって最もしてはいけないことをしていたのではないかと反省しています。
新たな魚の導入の時もしかりですね。魚にとって優しい飼育に努めたいものだと思います。

*「 自論:金魚の飼い方<濾過理論編>」NIFTY SERVEアクアリウムフォーラム専門館2番会議室
ログNO.5112 FRANK氏よりの引用。