らんちゅう往復書簡

当サイト掲示板より


先般、当サイトの掲示板で大変参考になる質疑応答がありました。
私が常々疑問に思っていたことに関して、神ちゅう会会長野木一男氏(jinntyuu-papa)が明快に答えてくださっています。当サイトの掲示板は容量の関係で古い順に消滅してしまいます。消滅してしまうのにはあまりにも惜しいので、こちらに再掲することにいたしました。※時系列で再掲しました。一部加工しています。


「産卵 」投稿者:ふんぺい 投稿日:2002/05/02(Thu) 21:38

こんばんは。

去年は5月中旬が自然産卵では
ピークでしたが、今年はどうやら予想通り
5月初旬のようです。本日で3腹採りました。

今日は日中一気に水温があがり、明朝産卵だと
思っていたメスが、夕方放卵していたので
思い切って人工授精をしました。

昼からの産卵は受精率が悪いと言いますが、
さてさて結果はどうでしょう。

夜間もやっと水温15度を割らないように
なって来たようですので、これからが本番
ですね。

らんちゅうの楽しみ方の神髄は、採卵して
親まで持って行くことだと思います。
千変万化する魚に翻弄されながら
少しでも魚と対話できるように
なりたいものです。


「産卵について 」投稿者:ranntyu-mama(野木会長奥様) 投稿日:2002/05/03(Fri) 22:03
卵、取れてよかったですね。
夕方の人工授精は、どうでしたか。
こちらは、池中稚魚だらけで、
選別に追われております。
御互いに、がんばりましょう。


「re:産卵について」 投稿者:ふんぺい 投稿日:2002/05/04(Sat) 00:44

ranntyu-mamaさんへ。

書き込みありがとうございます!
夕方の人工授精の件ですけど、
以前より人工授精は経験済みなので要領は
分かっているのですが、どうやら
あんまり受精率は良くないようです。
オスもしっかり精子を出していたので
方法はいつも通りです。何故でしょうね???

選別ご苦労様です。お家の池に稚魚だらけって
想像しただけでもおぞましいもぞっとする
光景ですね!私ならひっくりかえってます。

お疲れが出ませんように!

「日中から夕方の産卵についての考察 」投稿者:jinntyuu-papa 投稿日:2002/05/07(Tue) 21:10

今日はこちらは朝からしとしとと寒い雨が降りました。さて
白子の正常と異常について私の考えを述べさせていただきます。白子が出ていたに
もかかわらず、受精が悪いと述べられておりますが多分白子の色は、乳白色が濃く
バラケテない状態だったと思われます。それは、メスのフェロモン
がオスに完全に感知していない為、活性化していない白子が出ていたものと考えま
す。私の体験では、完全に活性化した白子は、ややあめ色をした無色透明に近い色を
しております。その場合精子は、バラケテおり、完全に活性化
した(完全代謝)状態といえます。その辺が、今回の無精卵が多い理由と言えると思い
ますがどうでしょうか。


「re:日中から夕方の産卵についての考察 」投稿者:ふんぺい 投稿日:2002/05/08(Wed) 23:56

jinntyuu-papaさん、こんばんは。

>多分白子の色は、乳白色が濃くバラケテない状態だったと思われます。

仰るとおりです!

>それは、メスのフェロモンがオスに完全に感知していない為、

   >活性化していない白子が出ていたものと考えます。

良く理解出来ます。
ということは、日中から夕方の産卵においては
オスのほうに問題があるということですね。
ある意味、オスの産卵行動が顕著でない場合は
いくら絞っても失敗するということなんですね。

日中の紫外線が受精を邪魔するということを
聞いたことがありますが、そのあたりは
いかがでしょうか。

大変勉強になります!
ありがとうございます。


「紫外線について」 投稿者:jinntyu-papa 投稿日:2002/05/09(Thu) 19:53

日中に紫外線が受精を邪魔するというご質問ですが、紫外線の場合の影響は無いも
のと思われます。
何回か日光が強い午前9時頃からの産卵を体験しておりますが、受精、無精の差は
ありませんでした。
但し、光が強い場合(受精後数分以内)90%以上オスが生まれるということは、体験し
ております。水産学会の報告では、同じことを発表している先生もいらっしゃいま
す。
また、産卵数分以内に卵を5℃程度の冷水につけるとオス化することも発表されてい
ます。ご参考までに!


「鰓病について」 投稿者:ふんぺい 投稿日:2002/05/09(Thu) 23:51

こんばんは、jinntyu-papa さん。

たびたびの書き込みありがとうございます。
紫外線の件、良く分かりました。
オス化現象は大変興味深い見識ですね。

もう一点疑問があります。
どうかご回答お願いします。

それは鰓病に関してです。
この掲示板でもたびたびご質問等があるのですが、
当歳魚の時期に積極的に鰓病を患わせることの是非
についてです。

積極的に鰓病を患わせる理由は、
細菌に対する免疫をつける為と
教えられています。

稚魚期には、親から引き継いだ免疫が
あるが、その効力も丁度7月から8月の段階
で切れてしまう。自己免疫力を付ける
為に他所の細菌(病原菌ではないと思います)
を池に入れて鰓病感染させるということです。

そうすることによって二歳魚以上にはじめて
鰓病に感染致死する率を減らすという理由付けを
されています。

当歳魚の一時期の鰓病は高水温の関係上
比較的簡単に治療が可能です。いわゆるこの
鰓病を魚における「はしか」と考える
ものです。

私も経験上、当歳時に鰓病にかけたほうが
良いと感じています。

jinntyu-papa さんのお考えをお聞かせ
頂きたく思います。

何度も申し訳ありませんが、いつも小骨が
のどに引っかかっているような違和感が
ありますので、ご意見をご披露いただきたく思います。


「鰓病について」 投稿者:jinntyu-papa 投稿日:2002/05/10(Fri) 20:56

「積極的に鰓病を患わせる理由は、細菌に対する免疫をつけるためと教えられてい
ます。」と、記しておりますが、細菌による鰓病は免疫はつきません。
鰓は呼吸をするためのフィルターです。そこを細菌に攻撃されます。それが細菌性鰓
病です。(固形飼料等の未消化物)。
それ故、ウイルス等に対する自己免疫力をつけるのとは異なります。
また鰓病といっても、稚魚期〜当歳時にかけて、起こる両鰓開き病(えら腎炎?)は、
私の体験では当歳時に積極的に鰓病を患わせる事によって免疫力がつくことは事実
です。
この事からも解かりますように、単に鰓病といっても病状が異なりますので、どの
ような鰓病かを確認することが必要です。但し、私の理解では、ふんぺいさんのおつ
しゃる「はしか」とは両鰓開きのことではないのでしょうか?
最後に、私の考えをまとめますと、今までに治療を体験した鰓病とは、

1.免疫をつけるための稚魚期の両鰓開き病。
2.静的細菌(エロモナス菌)による片鰓ふさぎ病。動的細菌(カラムナリス菌)の攻撃に
よる鰓ぐされ病(鰓葉の部分欠損、症状悪化のスピードが速い)。
3.ウイルスの攻撃後に起こる二次感染の鰓病(重度の貧血を含む)。

  等に大きく分類されます。


「はしか鰓病 投稿者」:ふんぺい 投稿日:2002/05/11(Sat) 17:04

こんばんは、jinntyu-papaさん。

>鰓は呼吸をするためのフィルターです。そこを細菌に攻撃されます。
>それが細菌性鰓病です。(固形飼料等の未消化物)。

魚体の中でも鰓が最も傷つき易いわけですね。傷つけば、もろに細菌に
攻撃されるということで、このことは、親でも仔でもいつの時期でも
感染するということと理解します。主に飼育者の側に問題があるという
ことだと思います。

>また鰓病といっても、稚魚期〜当歳時にかけて、起こる両鰓開き病(えら腎炎?)は、
>私の体験では当歳時に積極的に鰓病を患わせる事によって免疫力がつくことは事実です。

この部分が一番お聞きしたかったことです。おかげさまで
これまで経験的にして来たことに対して自信が持てました。

>この事からも解かりますように、単に鰓病といっても病状が異なりますので、
>どのような鰓病かを確認することが必要です。

仰るとおりですね。何もかも十把一絡げで「鰓病」とすることの
無意味さを痛感しました。

>私の理解では、ふんぺいさんのおつしゃる「はしか」とは両鰓開きのことではないのでしょうか?

はい、そうです。以前、先輩達が稚魚〜当歳時のいわゆる「はしか鰓病」に
かけなければ駄目だという言説に反発しまして、かけなかったことがあります。
すると天罰が下って二歳の春に全滅させるという憂き目にあいました。
他所から隔離して当歳時には一切病気させずに健康に飼っていたのですが、
大変残念なことをしました。

> 1.免疫をつけるための稚魚期の両鰓開き病。
> 2.静的細菌(エロモナス菌)による片鰓ふさぎ病。
>  動的細菌(カラムナリス菌)の攻撃による鰓ぐされ病(鰓葉の部分欠損、症状悪化のスピードが速い。
> 3.ウイルスの攻撃後に起こる二次感染の鰓病(重度の貧血を含む)。
>  等に大きく分類されます。

大変明解に「鰓病」を分類してくださってありがとうございます。
1を「はしか鰓病」
2を「一般鰓病」
3を「ウィルス関連鰓病」  と理解したらよいですね。

ところで、去年の「はしか鰓病」なんですが、例年の症状とは
違い、両鰓を開くというはっきりとした症状が出ませんでした。
思うには、何人かの方に聞きましたら、同じだったと言います。
私は、「ウィルス関連鰓病」ではないかと疑っています。
但し、落とすことなく完治しましたので、ウィルスが原因で
あっても免疫が出来たのではないかと思っています。こちらの
ほうでは、ウィルスは終息に向かっているのではないかと
感じています。


「両鰓開き病について」 投稿者:jinntyu-papa 投稿日:2002/05/11(Sat) 21:34

こんばんわ ふんぺいさん。
そろそろ選別で忙しいのではないですか。
両鰓開きについて更に説明します。

1.両鰓開きが80%〜100%起こる場合(発症前日の夕方、強烈に餌をほしがり食べる)
2.両鰓開きが数%〜10%発症場合
3.急に泳ぎが止まり、じっとする(殆どの魚が開かない)
とがあります。

それは、私の体験では、両親とも過去に両鰓開きを終了した魚同士の仔(3)
片親が終了している仔(2)、両親とも両鰓開きを体験していない仔(1)によって、
個体差はありますが、開き方の%が大きく異なります。
それ故、去年のはっきりした症状が出なかったということは、うなずけます。
なお、我が家の仔引きでもこの三様が現われます。


「Re:両鰓開き病について」投稿者:ふんぺい 投稿日:2002/05/12(Sun) 00:30

こんばんは。

>そろそろ選別で忙しいのではないですか。

はい、そろそろ第一回目の選別に入ろうと思っています。

「両鰓開き病」の実証例を数値を交えて提示されての
ご説明に大変納得しました。要するに
良性の鰓病と悪性の鰓病という二つの分類も
可能ですね。

このような症例は、多くの方も経験的にご存知の方が
多いかとは思いますが、それを言葉として説明できずに
半信半疑の方も多かったと思います。


精子の活性化のお話、紫外線のお話、そして鰓病の知識。含蓄のある野木会長の見識の一端をご披露いただきましたことに感謝いたします。これも野木会長奥様の掲示板への書き込みが無かったら実現していなかったことです。夫唱婦随の野木会長夫妻に重ねて御礼申し上げます。(2002年5月)